カーズ2

ネタバレにはならないよう配慮しているつもりだが、近々見る予定の人はまだ読まないほうがいいかも。

大阪の相方の実家に一週間滞在して、横浜に帰る日が公開日初日。もちろん初日に行けるとは全く思っていなかったのだが、たまたまとっちとみいくんの寝た時間などのタイミングが合ってひとっ走り見てくることにした。20時台指定の宅急便がゲリラ豪雨の合い間で18時半くらいに届いたことや、帰宅した後で降りだした豪雨が20時過ぎにはやんでいたこともある。

レイトショー行けるんじゃないか、と思って携帯から開始時刻を検索。まずゲントにある109シネマズMM横浜。鷹の爪団のマナームービーがおかしいので第一候補だが20時半開始なので無理。ちなみに3Dのレイトショーだと1600円。
次に新しく桜木町駅前のコレットマーレにできた横浜ブルグ13。行ったことのない映画館なので試しに行ってみようかと思ったが、3Dは2000円でレイトショーで安くならないらしい。21時半開始と時間は悪くないのだが。ちなみに土曜だからかミッドナイトとかで深夜の開始もある。
そしていつものワールドポーターズ内のワーナーマイカルシネマズみなとみらいはレイトショーは21時05分からと今出てぎりぎりというところ。レイトショー1200円+3D料金300円+メガネ100円の1600円。席は余裕ありとなっている。
よしワーナーで、と着替えて小雨の中車で一路みなとみらいへ。この時間なので渋滞はなく20時55分くらいにワーポのパーキングに入る。直接シネマフロアと直結の7階へ乗り入れる。チケット売り場にちょっと列ができていてやきもきしながら並ぶ。21時3分くらいにようやく窓口で購入。急いで向かいかけて3D鑑賞用のメガネを渡されていなかったことに気づきとって返す。まぁ最初は予告なのは分かっているが。ほぼ時刻どおりに着席。中規模のスクリーンで中央の席は割りと埋まっている。もちろんこの時間なのでファミリーはいなくてカップルか一人か。右寄り通路側の席にしたら前も横もいなかったのでらくらく見られた。

いくつか予告のあと同時上映のトイトスーリーの後日譚のハワイアンバケーション。そもそも3を見ていない。評判はかなりよかったようだが。この短編の間は3Dメガネをかけたりはずしたりして立体効果を確かめていた。なるほど外すと二重になるし極端に手前に飛び出すことはないが奥行はある。ディズニー映画の最初に出るアナハイムの城のアニメも立体化されていた。ルクソーは逆にさして変わらないように見えた。
ちなみに今回見るのは字幕版。洋画は基本字幕で見るべきと思っているが気になったのは3Dだと字幕が見づらいのではないかという点。しかし特に危惧するようなことはなく普通に読み取れたし気にもならなかった。手前の下側で文字が浮いているみたいなことにはなっていない。

最初のほうは予告などでけっこう公開されていたシーン。英国のスパイマクミサイルが油田に潜入するシーン。しかし衝撃的なのは捉われていた仲間のスパイの行く末。これは理解できる程度のお子様にはトラウマにならないか心配になったほど。その後もやはりこのザンダップ一派に捉われたアメリカのスパイが飛散するシーンが一応こちらは間接的に描かれており、命がけのスパイ戦のイメージを否応なく印象付ける。
そもそもこのカーズの世界において死という概念は希薄だったように思う。リジー婆さんなんて相当な年のはずだが健在だし(旦那は銅像になっているから死はあることはあるのだろうが)、メーターだって相当なサビ具合だが動きは滑らかだしいい加減中年ぽいのに言動は子どもだし。ラジエータースプリングスの盛衰を見てきたというだけで相当長生きな車ぞろいともいえる。
しかし字幕版では特に説明はなかったがドクハドソンは今回登場しない。ドクのミュージアムの中でマックイーンたちが眺める記事に答えがあったようだがそこまで読めなかった。演じる声優のポール・ニューマンが死去したこともあるが、それをいうならフィルモアのキャストも亡くなっているがフィルモアは健在。

日伊英を転戦するワールドグランプリの最初の舞台が東京。カーズというバンドの曲をカバーしての主題歌にのってアメリカを飛び立ったマックイーンたちが夜の東京を走るシーンが描かれる。1作目のルイジの店にシューマッハフェラーリが訪れるシーンのマックイーン版も再現。東京タワーやレインボーブリッジはビッグベントレーことビッグベンなどと同様に車のパーツが仕込まれているらしいが初見では全く分からず。日本のシーンは看板類も日本語なのでそれぞれじっくり見ていくとなかなか笑えるネタが仕込まれていそう。
Perfumeポリリズムが全世界版での採用ということでファンにも気になるところだろうが、使い方自体はパーティ会場のBGMとあってファンには物足りないかもしれない。サントラにはほぼフルで収録されているが。

そのサントラを輸入版で先に買って聴いていたので、この曲がこの場面に、という部分も多い。1作目同様歌ものを頭にまとめて後半にスコアという構成。エクストラ仕様で予告編とかも収録されていた。このへんはダウンロードでは入手できないところだろう。

レース前夜のパーティ会場の建物はどう見ても六本木の新国立美術館。ゼンマスターのプロフィールではトーキョー博物館と書かれていて、それだと両国の江戸東京博物館を連想するところだが、建物はどう見ても新美。これはパンフにも書かれていた。まぁ今は建て替え中で姿和消している歌舞伎座の前に直線道路があったりするから現実のままではない部分も多いのだろう。なので3都市のレースコースの図も出るが、そのままあてはめられるものでもなさそう。そもそもイタリアのポルトコルサという街は架空の存在だし。

日本のキャラとして阿国やら禅師やらキングピン信長とかいるが(字は勝手に当てた)、どれも一瞬しか出てこない。そもそも作中には名前が出ない。それどころかレーサーの1台である轟周(これも字は勝手に当てている)も直接名前を呼ばれもしなかったしセリフもなかった気がする。ディズニーストアにはグッズが並んでいるがここまでチョイ役だとあまり売れなさそう。
一瞬しか出ないといえば監督のジョンラセターが声を当てたというトラックのジョンラセッタイヤなどどこに出たのかも見つけられなかった。どこかのレースコースの看板にラセッタイヤのアルファベットは見つけたが。またパリのシーンにグストーの看板があったのはこれはラタトゥイユ(レミー)がらみだろう。ただA113とかいろいろと仕込まれているようなのでトリビア系は大量にありそう。

吹き替え版だと分かりにくい日本語セリフも字幕版なので目立っていて、トイレ画面のアナウンスは公開されていたので1作目に続いてピクサーの小西園子さんが当てたというのを含めて知っていたが、一番受けたのはグイド似の寿司職人のお悔やみ申し上げます、のひと言。ワサビをピスタチオアイスだと思い込んだメーターが大量に食べた直後にかぶせる。空港のシーンでもなにやってんだよ!と日本語が流れるが同じ人が当てていて、こちらもやはりピクサーのスタッフの堤大介さんらしい。

東京、パリ、イタリアの港町、ロンドンと舞台になる街並みの再現度はどれもかなり高い。名所もいろいろと出てくるがそれぞれ車がらみの仕込みをしてあるようで、それはDVDなりあるいはブルーレイなりで(再生できる機器がうちにはまだないが)じっくり見ないことには分からなさそう。ポルトコルサあたりはシーのメディテレーニアンハーバーミラコスタと建物がとても似ていて、逆にシーのイタリアっぽさのクオリティはやはり高いのだと再認識。そういえばルイジとグイドのふるさとでのイタリア語も劇中では出てくるが、こちらは字幕は出ない。日本語のセリフにも字幕は出ないが、もともと出ない仕様ということだろうか。トイレへー、よーこそー、あたりの意味が分からないまま見るのはもったいないようにも思うが。

ロンドンでの終盤に真の黒幕が暴露されるが、これは全然分からなかった。短編でモノクロのノワール風で名探偵メーターってのがあるが、そのタイトルを思い出さずにはいられない。ちゃんと伏線を張ってあったあたりちょっとしたミステリーものでもある。またその直前にラジエータースプリングスの面々が活躍しての捕り物劇もある。フローまで活躍していて笑えた。ラストの舞台がラジエータースプリングスというのとあわせてのファンサービスだろう。

本国では1ヶ月近く前に公開されて興行成績はピクサー史上最悪というほどにかなり悪かったらしい。しかし実際見てみるとそれはきっとアメリカがほとんど舞台になっていないせいでアメリカ人には受けが悪かっただけではないかと思える。確かに1作目の古きよきマザーロードルート66への郷愁みたいなノリとは全く違う世界を股に掛けたスパイ戦が描かれるわけで、1作目の延長を期待しているとかなり落胆はするかもしれない。しかしこれ日本イタリアイギリスでは特に大受けしてもよさそう。少なくとも自分はますますカーズの世界が好きになった。カーアクション好きなら絶対楽しめる。もしかしてこれはピクサーの肉を切らせて骨を断つ的な(?)世界戦略なのかもしれない。
エンディングを見るとさらにその印象は強まる。作中にも出てきた街に加えてエジプトやらロシアやらオーストラリア、ハワイ、サンフランシスコと絵本風のタッチのマックイーンとメーターが名所を巡っていく。残念ながらここでは日本はすっ飛ばされていたっぽい。アメリカでの成績が悪くても全世界で取り戻す、という気概を感じる。まぁでも本国でこけたら3作目はなさそうだが。

あと正直これが3Dである必要はないと思った。それほど効果が出ていたようには感じない。まぁピクサーだから立体の効果を不必要に出すような演出はしないだろうが。

ちなみにカーアクションものを見た帰りはいつもながらついスピードをあげてしまいがち。ワーポの立体駐車場をくるくる下りていくのにも冒頭の油田のシーンが重なってしまったのだった。